特許庁データベースが使えないときの代替手段

システムのメンテナンスなどで、特許庁データベースJ-Plat-Patが使えない場合の、代替の検索手段をご紹介します。

特許
espacenet(無料) 欧州特許庁検索サイト。日本語可。
https://worldwide.espacenet.com/advancedSearch?locale=jp_EP
WIPO SEARCH(無料) 国際事務局検索サイト。日本語可。
https://patentscope.wipo.int/search/ja/structuredSearch.jsf
JP-NET(有料) 
https://www.jp-net.jp/

商標
TM-View(無料) ASEAN諸国の商標検索サイト。日本国を指定して検索可能。
https://www.tmdn.org/tmview/welcome#
BRANDY(有料) 従量料金制。一部無料機能(BRANDY ZERO)あり。
https://www.thomsonbrandy.ne.jp/index.pl

 

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歴史的経緯と地域団体商標

師走の声をきくと同時に、あちこちでお節商戦がはじまった。そんななか、お節料理に欠かせないかまぼこをめぐる地域団体商標について、2017年11月24日、横浜地裁小田原支部において判決が出てその行方が注目されている。

小田原蒲鉾協同組合は、組合が保有する地域団体商標「小田原かまぼこ」(商標登録第5437575号)の名称をめぐり、無断で使用したとして、非組合加盟の食品業者、佐藤修商店(南足柄市)を相手取り損害賠償及び販売と商標使用の差し止めを求める訴訟を起こしていたもの。組合は「地域ブランド」の信用に便乗していると主張していた。

判決では原告側の請求は全面的に棄却された。つまり食品業者は「小田原かまぼこ」の商標使用が認められたわけだ。組合側は商標権を保有しているのに、なぜ、こうした判決になってしまったのか──。疑問に感じる方も多いだろう。

判決理由を確認してみると──。組合が商標出願した2010年以前から食品会社では使用していたことが挙げられ「先使用権」(不正競争の目的がないことが条件)が認定された。つけ加えれば地域団体商標制度自体が、2006年に発足したこともある。

とくに注目したいのは、指定商品(29類)の「小田原産かまぼこ」の“小田原”の範囲についても検討されたことだ。小田原のかまぼこは、関東大震災以降、静岡県や山口県等の他地域で水揚げされた魚が大量に使われるようになっており、原材料の点では地域との関連性はほとんどないと指摘された。

江戸時代にさかのぼる地理

また、南足柄と小田原は、蒲鉾製造がはじまった江戸時代には、両方とも小田原藩に属していた。江戸時代にはいまの小田原市に製造業者が集中していたが、昭和以降は近隣に移転する業者もあり、現在の地理表示でははかれない“歴史的経緯”が考慮された。つまりこの判決では、地域団体商標の重要な構成要素である地域について、歴史的経緯を含めた柔軟な判断が示されたわけだ。

一方、原告の小田原蒲鉾協同組合は、控訴の意向を示しているそうだ。組合は明治中期に発足した同業者組合が前身。地域団体商標ロゴマークによる品質保証のほか、「小田原蒲鉾十箇条」を設け、例えば「小田原蒲鉾本来の製法・技法・技術を頑固に守り、将来もそれを尊重する意思を持っていること」等、品質保持に努める姿勢を貫き、活発な活動を行っている。ブランドとは何か──に立ちかえれば、品質・価値を示し、混同を避けるためのもの。今後は、フリーライド(信用へのただのり)が争点になってきそうだ。裁判の行方を見守りたい。

特許業務法人プロテック プリント版ちざいネタ帖 Vol.27 2017/12/11より

色商標、一枚上を行く使い方

2016年からスタートした新タイプの商標登録制度。その中でも色彩のみからなる商標(以下、色商標と略称します)は、審査に時間がかかっているようです。数百件の出願の中で、現在、下記の2件のみが登録となっています。

 

 

 

 

ファミリーマートも下記の色商標を出願しています。

 

 

 

セブンイレブンの色商標も、ファミリーマートの色商標も、長年使われてきて消費者にはお馴染みの色商標です。

実際に店舗での色商標の使われ方を観察してみると、ファミリーマートの方が一枚上手の使い方をしています。詳しく見てみましょう。

色商標の使い方【初級編】

 

 

 

 

 

店舗の装飾や看板に使います。お客さんは遠くからでもお店をすぐに認識できます。

 

 

 

制服の胸にワンポイント。これもお客さんの目に止まりやすいですね。

「ファミリーマート」、「Family Mart」という文字商標を使用しなくとも、お客さんが瞬時にブランドを認識できるのが色商標の最大のメリットです。

色商標の使い方【中級編】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ファミリーマートの自社ブランド製品です。「Family Mart collection」の文字がなくて3色ストライプだけだったとしても、お客さんは安心して商品を購入するでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

「FAMIMA SWEETS」とありますが、あまり目立ちません。3色ストライプの方が商標として機能しているように見えます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これはメーカー商品ですが、3色ストライプに「限定」の文字。ファミマ限定商品であることが分かります。どういうことかと思ったら、ファミチキに合うハイボールだそうです。

このように、色商標は言葉を要さずに消費者にブランドを認識させるものです。

色商標の使い方【上級編】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

商品の荷台です。
本来、お客さんに見せるべきものではありません。商品の補充をする時以外は、お店のバックヤードに隠しておくべきものです。
このように本来お客さんの目に触れるべきではない、でもどうしても触れてしまうことがあり得る、そういったものにも色商標を使用するのです。

ここまで徹底しているファミリーマートは流石だと思いました。

サルの自撮りの著作権

2017年9月、サルの自撮り写真についての著作権訴訟が、米国サンフランシスコ控訴裁判所での2年におよぶ裁判のうえ、結審したというニュースが飛び込んできた。対象となった写真は、2011年、インドネシアのジャングルで英国の動物写真家デイビット・スレーター氏のカメラを使ってマカクザルの“ナルト”が撮影したとされるもの。動物愛護団体「動物の倫理的扱いを求める人々の会(=PETA)」が、著作権はサルの“ナルト”にあると主張し訴訟を起こしていた。

訴訟は「ナルト対デイビッド・スレーター」と呼ばれ、ネットを介して世界中の注目を集めた。当の画像が出回り、記憶に残っている人も多いはずだ。

カメラの所有者であるスレーター氏は、「写真が撮られる状況を作り出すために自分が多大な努力を払ったことから、自分が著作権を主張する正当性は十二分にある」(BBC NEWS JAPANより)と主張。数日かけてジャングルに滞在してサルたちの信頼を得たからこそサルに近づくことができたという。また、自身が自然保護活動家で、写真に世界中から感心が高まることで、すでにインドネシアの動物保護に貢献していると強調していた。

このほか裁判では、サルの写真は、どのサルが撮影したかでも意見が対立。PETAはナルトと呼ばれる雌ザルと主張し、一方の写真家は別の雄ザルだったと主張していた。

動物は法律の対象外

2年間の審理の後、裁判所は、サルには著作権保護が適用されないと判断し、PETAが上訴を断念し、写真家の勝訴が確定。著作権はスレーター氏にあることが確認された。

そもそも、著作権に限らず、法律は人を対象にしたものであり、法律で確認され、認められる権利が帰属するのは人のみ。人とは、生物学的なヒトである自然人と法人からなる。これはローマ法に由来する世界共通の概念なのだそうだ。

動物愛護に関しては「動物の愛護及び管理に関する法律」(略称・動物愛護法)があり、動物の虐待が禁止されている。しかし動物愛護の法の精神は「生命尊重、友愛及び平和の情操の涵養に資する」ことであって、あくまで人が対象。つまり、法律上は、動物は「物」として扱われるのである。

それではなぜ、PETAは訴訟を起こしたのか──PETAの弁護士は「動物たち自身のために動物の基本的権利を拡大する必要がある。PETAの画期的な訴訟をきっかけに、動物の基本権について、大々的な国際議論が起きた」と語っている。

判決後、PETAとスレーター氏は共同発表文を発表。写真の著作権収入の4分の1が“ナルトの生息地や生活を守る”ことに取り組む慈善団体に寄付されることが盛りこまれている。めでたし、めでたし。

特許業務法人プロテック プリント版ちざいネタ帖 Vol.26 2017/11/05より

駄洒落ドリンクの始末

故ジョン・レノン氏の妻、オノ・ヨーコさんが、ポーランドの飲料メーカーを相手取り、商標権侵害などで抗議。このほど和解したというニュースが飛び込んできた。

問題になったのは、英国やヨーロッパで販売されているレモネードの「ジョン・レモン(JHON LEMON)」。「ジョン・レノン(JHON LENNON)」の商標権者(欧州連合知的財産庁=EUIPO)であるオノさんの代理人は、「ジョン・レノンの肖像、愛用の丸メガネや『Let It Be』『Imagine』などの言葉を許可なくラベルデザインに引用していたと主張」(CNN)。誰もが、ビートルズのスーパースター、ジョン・レノンを想起させるとして、抗議に至った経緯を説明している。

飲料メーカーでは「悪意はなかった」というが、駄洒落やパロディを狙った商品であることはいなめない。結果として、名称を「On Lemon」に変更することで和解。11月からは新商品となるそうだ。このケースでは、実は、いわゆる商標権侵害だけでは、判断が難しかったというところにポイントがある。というのも、飲料メーカーでは、オノさんの「JHON LENNON」商標登録に先立って「JHON LEMON」を商標出願していた。誰もが思いつきそうな駄洒落ネタなので、EUIPOのデータベースを確認してみると、37件がヒット。なかには、ハイネケンのスペイン法人もあり、これについても、オノ・ヨーコさんが警告し、5年間以上商標を使用していなかったため、登録が取り消しになったそうだ。

では今回、なぜ和解に至ったのか──。「レモネードを売るためにジョンの作品やイメージを想起させている」という主張に応えたことでもわかるように、飲料メーカー側は、イメージそのものを流用したことに関し、不正競争防止法(業者間の公正な競争を確保するための法律)や人格権(個人の人格的利益を保護するための権利)といった側面を含めた、総合的な判断をくだしたようだ。

つまり、ジョン・レノンほどのスーパースターともなれば、駄洒落も「シャレ」ではすませられないということ。ちなみにわが国でも、オノ・ヨーコ氏は、「Jhon Lennon Museum」(第4488030号)他の商標を保有している。

ところで、ジョン・レノンで思い出したのが、世界を舞台に活躍するビートルズの和製コピーバンド、「ザ・パロッツ」のリーダーでジョン・レノン役のチャッピーこと吉井守氏が9月12日、62歳で急逝したこと。キャロライン・ケネディ前米駐日大使も大ファンだったそうだ。ちなみにコピーバンドのライブハウスでの演奏は、JASRACの著作権許諾&支払いの対象。ライブハウスではまとめて支払っているケースが多いそうだ。

特許業務法人プロテック プリント版ちざいネタ帖 Vol.25 2017/10/05より

サルの自撮り写真の著作権めぐる訴訟、著作権は写真家のものに

米国カリフォルニア州で、野生のサルが自撮りした写真について、撮影者であるサルに著作権が認められるか否かを争っていた裁判が終結しました。動物愛護団体が「この写真の著作権はシャッターを押したサルにある、無断使用している写真家(カメラの所有者)はサルの著作権を侵害している」として写真家に対して訴訟を提起しました。写真家は「著作権は自分にある」と反論しました。

そもそも、サルが自撮りした写真は『著作物』なのか?著作物であれば、生まれた時点で創作者に著作権が発生します。
写真なら何でも著作物になるというわけではありません。ただ漫然と撮った写真には著作物性がないこともあります。著作物性があると言うためには、創作性が発揮されていることが必要。被写体の選択、構図、ライティングなどを総合して見て、創作的な表現と認められるものが著作物となります。この創作的な表現には、撮影者が意図しない、偶然のシャッターチャンスを捉えたようなものも含まれると、一般的には解釈されています。

それでは、この写真の場合はどうか。サルはカメラの何たるかを全く知らずにシャッターボタンを押してしまい、偶然に創作的な表現となる写真が撮れてしまった。著作物性はあるのか?このサルに著作権が発生するのか?

約2年間にもわたる訴訟は、両当事者が和解することで終結しました。和解内容は、「著作権は写真家に帰属する。写真家はこの写真による収益の一部を動物保護団体に寄付する」というものです。著作権がサルに帰属し得るのかという論点についての裁判所の判断は明らかにされませんでしたが、サルに著作権を認めるのには否定的だったものと和解内容から推測されます。

AI(人工知能)技術が急速に発展する昨今、AIに文章や図画、音楽などの制作をさせる試みも行われています。このようにAIが生み出した著作物の権利主体は、コンピュータとなるのでしょうか?法廷でそういった争いが繰り広げられる日も遠くないのでしょう。

サルの自撮り写真の著作権めぐる訴訟、写真家が勝訴(※正確には和解です)
http://www.bbc.com/japanese/41237082

そっくりコメダ。改築して和解

おしぼりやコーヒーをテーブルまで店員が運んでくるフルサービス、家庭にいるようなインテリアで人気の「珈琲所 コメダ珈琲店」(株式会社コメダ)。セルフサービス型カフェの出店が頭打ちといわれるなかで、この10年で2倍以上の店舗数を達成(739店舗2017年2月現在)、全国津々浦々ですっかりおなじみの喫茶店となっている。

そんなコメダ珈琲に、和歌山県の外観も内装そっくりの「マサキ珈琲中島本店」(株式会社ミノスケ)に対し(株)コメダは申し立てを行い、2017年12月には、東京地方裁判所により使用差止と損害賠償を求める仮処分命令が発令。本案訴訟の審理の行方が注目されていたが、この7月5日、マサキ珈琲が全面的に改築し、和解したことがニュースで伝えられた。報道発表によれば、仮処分決定後、ミノスケは異議を申し立てることなく店舗を一時休業。改装して現在は営業を続けているそうだ。

今回の係争の法的根拠となっているのが、不正競争防止法であることに留意する必要がある。製造業やIT企業であれば技術やビジネスモデルの特許等でカバーできるが、飲食店の場合は、店名の商標登録が主で、「いきなり!ステーキ」のサービス提供システムや「ふわとろたまごのオムレツ(容器入りオムレツ様食品)」(特許第4457997号/カナエフーズ)のレシピ等、特許例はあるものの、一般的にはハードルが高い。不正競争防止法では競業秩序の維持を目的とする一般法としての位置づけから、外観や内装、制服等にも、混同や誤認を生じる範囲が及び、損害賠償や使用差止の対象になったわけだ。

 

モーニングまでそっくり!

 

係争の経緯について仮処分命令をみると、(株)ミノスケは(株)コメダのフランチャイズに加盟申請をしていたが、諸般の事情で加盟がかなわなかった。その後、ミノスケが開店した「マサキ珈琲」は、コメダ珈琲の郊外型店舗に似たログハウス風外観やウッディなインテリア、食器デザインのほか、コメダ珈琲で人気のモーニング、デニッシュパンのシロノワールなどのメニュー内容も酷似。さらにいえば、メニューデザインのレイアウトまでがそっくりというものだった。

(株)コメダでは、係争中の2016年2月、郊外型店舗の外観デザインを立体商標出願し5月に登録になった(登録第5867027号)。コメダ珈琲のフランチャイズでは、開業資金の多くが建設費に費やされるというが、脱退の際に建築物のデザインがどう扱われていくのかは、少々気になるところでもある。

余談だが、(株)ミノスケはもともとゲーム会社で、男性デュオのコブクロの所属事務所でもあるそうだ。

 

特許業務法人プロテック プリント版ちざいネタ帖 Vol.24 2017/08/04より

 

[参考]

(株)コメダホールディングス:仮処分命令の発令に関するお知らせ(平成28年12月27日 )

一枚上を行く商標戦略-資格・検定ビジネス編

山形県の川西町が町産の紅大豆をPRするために「マメリエ」という商標を登録しました。郷土の豆料理を広く知らしめるなど町おこし活動を展開しています。

豆のソムリエ「マメリエ」を商標登録 川西町産をPR /山形
https://mainichi.jp/articles/20170607/ddl/k06/040/034000c

「ソムリエ」に倣った「○○リエ」という商標は、以下のような登録例があります。

ソバリエ 小嶋屋総本店
酢ムリエ オークスハート
ハムリエ プリマハム
タビリエ JTB
シネリエ 松竹
カラリエ 花王
米リエ オギハラ工業
コンクリエ 太平洋セメント
マドリエ LIXIL
飲ムリエ ぐるなび
ネムリエ 丸八真綿
漢ムリエ タキザワ漢方廠
タオリエ 西川産業
ラヂムリエ 三朝温泉旅館協同組合

なかなか面白い造語商標ですね。
しかし、面白い造語で商標登録ができた、と喜ぶだけで終わってしまっては宝の持ち腐れになります。

本来の「ソムリエ」の意味=ワインについての豊富な知識を持ち、レストラン等で客の要望に応えてワインを選ぶ手助けをする専門職=を考えれば、「○○リエ」商標の活用方法のヒントが得られます。

おそらく消費者は、「酢ムリエ」に相談すれば好みにピッタリあった酢を提案してくれる、「シネリエ」が紹介してくれる映画はまずハズレがない、といったことを期待するでしょう。

このように、人々が「○○リエ」商標に信頼を寄せるとき、商標の「品質保証機能」が全面的に発揮されています。

商標の基本的な使い方は、商品・サービスのネーミングとして使用することですが、より上手な商標の活用方法のひとつがこの「品質保証機能」を発揮させることなのです。

一般社団法人 日本野菜ソムリエ協会(http://www.vege-fru.com/)は、商標登録「野菜ソムリエ」(登録4957386号)を持ち、飲食関係者向けに「野菜ソムリエ」の資格制度を実施しています。協会の講座を受講し検定試験にパスした人は、「野菜ソムリエ」を名乗ることが許されます(つまり、商標の使用が認められる)。

健康志向の消費者、野菜を美味しく食べたい消費者は、数ある飲食店や小売店の中から「野菜ソムリエ」の看板を掲げるお店を選んで利用するでしょう。協会の資格制度によって「野菜ソムリエ」の品質が保証されているので、消費者はこれを信用してお店を利用することができます。そういった信用が蓄積することで、商標「野菜ソムリエ」の価値がどんどん上がってきます。そうすると、より多くの人が「野菜ソムリエ」の資格を取得しようということになります。

商標使用によって、商標権者(協会)、商標使用者(お店)、消費者の3者共が利益を得られる構造ができています。これが一枚上を行く商標の活用方法です。

弊所クライアントでも、商標を上手に活用して資格・検定ビジネスをされている例があります。

■終活マイスター(登録5722725号)
一般社団法人日本終活マイスター協会
https://www.facebook.com/shukatsum/

「終活マイスター」は、人生の終わりの段階で、老後の憂いなく残されるであろう家族が心配なく諸事にあたれるよう、生前に対策を打つためのアドバイスを行う専門家です。

■腸トレ(登録5706053号)
一般社団法人腸トレ協会
http://cho-tre.com/index.html

「腸トレ」認定セラピストは、腸の中と外から働きをかけて健康な腸を取り戻し、便秘解消・美肌・ダイエットなど、身体の内側からの健康増進をサポートします。

商標を自分のものと思い込まず、他人に上手に活用させる仕組みを作れば、より大きな利益が得られます。

懐かし需要で日本ブランド復活♪〜aiwa物語

aiwa(アイワ)ブランドの栄枯盛衰

1968年、日本発のラジカセを発売したオーディオ・ブランド「aiwa(アイワ)」。ソニーがウオークマンを発売した翌年の80年には、世界最小・最軽量、世界初の録音・再生が可能なヘッドホンステレオ「カセットボーイ」を発売して大きな話題に。
先端的音響技術が評価され、マニアックなフアン心理をくすぐったりもしたが、なんといっても、aiwaの名を当時の若者に印象づけたのがその価格帯だった。有名メーカーの製品に手が届かない人でも買える割安感で、庶民派ブランドとして深く広く浸透していったのだ。

そのaiwaブランドが、2017年秋以降、復活するというので、40代後半〜60代のオヤジたちの間でちょっとした話題になっている。復活の目論見は、そうした「懐かし」需要の喚起と、その年齢ならではの購買力で、子どもや孫へのプレゼント需要をも狙ってのことらしい。

aiwaブランドの歴史をひもとくと、2000年代に入り、デジタル化・IT化の波に乗りきれず、2002年に資本提携先だったソニーが買収し、aiwaブランドでのオーディオ機器販売を続けたものの、なかなか軌道に乗らず、2008年に生産は中止になっていた。

日本発ブランドの価値

今回、aiwaブランドの復活が可能となった契機は、休眠ブランドの獲得・再活用事業を行うリバー・ウエスト社(シカゴ)が、ソニーからアメリカでのブランドを購入したことにある。同社からサブライセンスを受けたハードウエア企業のスタートアップ支援ファンドが、aiwa商標を米国で出願、2015年2月に登録となり、4月からすでに本格的に製品展開。
さらに、日本では、EMSメーカー「十和田オーディオ」(秋田県小坂町)がaiwaブランドの使用権を取得し(商標権はソニーが所有)、17年に子会社としてアイワ株式会社を設立した。つまり、国境を超えた国際的コンソーシアム(協業)によって、aiwaブランドの復活が叶ったというわけだ。

ちなみにaiwaブランドは、日本国内ばかりでなくすでに国際的なものだという。例えばアラビア語エジプト方言で「アイワ」はイエス(はい)という意味で、ソニーよりも知名度が高いとか。中国語では「愛華」と表記し、Ai Huaの発音は中国を愛するという意味を含むそうだ。

新生アイワ株式会社では、旧アイワのもっていた大手メーカーに比肩する技術開発力、そして買い求めやすい価格という、長年培ったブランドの価値そのものを引き継ごうとしている。かつてのロゴの復活もその姿勢のあらわれであり、スタッフには旧アイワ出身者も登用している。9月からCDラジカセ、4Kテレビ、ブルートゥーススピーカーの発売がはじまる。オヤジ世代には何とも楽しみなのである。

特許業務法人プロテック
プリント版ちざいネタ帖Vol/23(2017/7/10)より転載