サルの自撮り写真の著作権めぐる訴訟、著作権は写真家のものに

米国カリフォルニア州で、野生のサルが自撮りした写真について、撮影者であるサルに著作権が認められるか否かを争っていた裁判が終結しました。動物愛護団体が「この写真の著作権はシャッターを押したサルにある、無断使用している写真家(カメラの所有者)はサルの著作権を侵害している」として写真家に対して訴訟を提起しました。写真家は「著作権は自分にある」と反論しました。

そもそも、サルが自撮りした写真は『著作物』なのか?著作物であれば、生まれた時点で創作者に著作権が発生します。
写真なら何でも著作物になるというわけではありません。ただ漫然と撮った写真には著作物性がないこともあります。著作物性があると言うためには、創作性が発揮されていることが必要。被写体の選択、構図、ライティングなどを総合して見て、創作的な表現と認められるものが著作物となります。この創作的な表現には、撮影者が意図しない、偶然のシャッターチャンスを捉えたようなものも含まれると、一般的には解釈されています。

それでは、この写真の場合はどうか。サルはカメラの何たるかを全く知らずにシャッターボタンを押してしまい、偶然に創作的な表現となる写真が撮れてしまった。著作物性はあるのか?このサルに著作権が発生するのか?

約2年間にもわたる訴訟は、両当事者が和解することで終結しました。和解内容は、「著作権は写真家に帰属する。写真家はこの写真による収益の一部を動物保護団体に寄付する」というものです。著作権がサルに帰属し得るのかという論点についての裁判所の判断は明らかにされませんでしたが、サルに著作権を認めるのには否定的だったものと和解内容から推測されます。

AI(人工知能)技術が急速に発展する昨今、AIに文章や図画、音楽などの制作をさせる試みも行われています。このようにAIが生み出した著作物の権利主体は、コンピュータとなるのでしょうか?法廷でそういった争いが繰り広げられる日も遠くないのでしょう。

サルの自撮り写真の著作権めぐる訴訟、写真家が勝訴(※正確には和解です)
http://www.bbc.com/japanese/41237082