ティファニー・ブルーの手帳

秋も深まると、書店・文具店の店頭には、色も大きさもデザインも多様な手帳が多数平積みされる。これも初冬の風物詩のひとつだろう。そんななか、女性たちの注目を集めているのが、ティファニー・ブルーの洒落たダイアリー。米国の宝飾品ブランドTIFFANY&CO製で、発売と同時に売切れ必至の人気商品だそうだ。

われわれの知財業界では、ティファニー・ブルーといえば、色商標(色彩のみからなる商標)制度を思い浮かべる。我が国では2015年度より、音商標・位置商標などとともに新しいタイプの商標として制度スタート。先行して制度をもつ米国の色商標登録例(米国商標登録第2416795他2件)としてティファニー・ブルーが挙げられていたからだ。

「ジュエリーでこの色といえば、どのブランド?」ときけば、ほとんどの女性たちが正答する。この識別性が登録のカギというわけだ。

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ティファニー・ブルーは、コマドリの卵の色に由来するティファニー社のコーポレートカラーで、米国の色商標登録では、宝飾品など取扱品目の区分で、ペーパーバック、ボックス、巾着(ジュエリーを入れる布製小袋)を登録している。日本国内での権利関係はどうかと調査してみたところ、「TIFFANY BLUE」のロゴは国際登録されているものの、色彩商標では、まだ出願されていないようだ。というのも、日本の色彩商標は、制度スタートしたものの、いまだ登録例がないのが実状。469件すべてが審査期間中となっている(2016年10月末現在)。識別力ばつぐんのティファニー社でさえも、日本の色商標制度の行方を様子見しているのかもしれない。

 

コーポレートカラーを徹底させる

 

では、ティファニー社は、世界でどんなカラー戦略をとっているのかといえば、ロゴや標準文字の商標の他に、スカーフやジュエリーの箱、布製巾着を「立体商標」として色付きの図柄で国際商標登録している。立体商標とは、立体的な形状からなる商標のことで、日本では、カーネル・サンダース立像(日本ケンタッキー・フライド・チキン株式会社)や動く蟹看板(株式会社かに道楽)などが有名。なるほど──ブランド&イメージ戦略に長けたティファニー社ならではだ。

また同社ではパッケージやペーパーバック、グッズ類のほか、モデル撮影の際のバックカラー、白とティファニー・ブルーのツートンカラーを基調にしたパンフレット類やホームページ、ブティック店内インテリアに至るまで、カラー戦略を徹底させている。われわれは、そこを見習うべきだといえるだろう。

 

特許業務法人プロテック プリント版ちざいネタ帖 VOL.14 2016/11/01より。