マーケット変化と商標ライセンス

インフルエンザなど感染症対策の第一は、うがいと手洗い。発売以来、 日本のうがい薬マーケットを牽引してきた「明治 イソジンⓇ うがい薬」が、きたる3月末にライセンス解消というニュースが飛び込んできた。

データベースを確認してみると、イソジンⓇの出願は1960年。出願人は米国系製薬会社のムンディフアルマ社。61年に医療用の殺菌消毒薬として明治製菓(当時)が発売し、83年に市販薬を発売。キャラクター「カバくん」も、85年にはテレビCMに登場し、後に明治のグループ会社が図形商標登録している。つまり、「イソジンⓇ」の名称と「カバくん」は30年以上にわたり、二人三脚でブランドを育ててきたわけだ。それが2016年4月からは、明治の商品には「イソジンⓇ」の名称が消え、「明治のうがい薬」名と「カバくん」マークで独自路線を行く。半世紀以上にわたる関係の解消の背景にあるものは、なんだろうか。

報道によれば、ムンディフアルマ社は、欧米を中心に慢性腰痛やがんに 伴う痛みの治療薬を販売してきたが、昨年から日本を重点地域に定め、積極投資。その一貫として、すでに日本市場に浸透しているイソジンⓇブランドを自社展開することを決め、シオノギ製薬グループが独占販売する。フェミニンケアなど幅広い商品を計画しており、菓子や乳業など多様な食品を提供している明治よりも、製薬やヘルスケア商品に特化したシオノギに乗り換えたということだろう。

廃棄不徹底がブランドを傷つけかねない状況が頻発している昨今──。 明治のイソジン製品が、4月以降には市場に流通しないよう、徹底した在庫回収策がとられることが期待される。

高級感がウリでなくなったとき

商標のライセンス解消といえば、「プランタン銀座」が、仏プランタン社との商号・商標契約を2016年末で終了するというニュースが同じころに届いた。プランタン銀座は、1984年、破竹の勢いだった(株)ダイエーが、安売りスーパーの別業態として、おしゃれで高級なイメージを獲得して開業。30年余を経た現在は、読売新聞グループの会社が運営し、ニトリやユニクロが出店する商業施設になっている。ダイエーの変遷はもとより、その時代の目論見は継続できず、いまやフランスの老舗百貨店「プランタン」の高級感あふれるイメージとの齟齬は否めない。 契約期間の満了とともに更新に至らなかったのもいたしかたないことだろう。2017年春の新装開業後は、主婦や訪日外国人需要を含めた幅広いターゲットに訴求する予定だそうだ。

歌は世につれ、世は歌につれ………。商標やライセンス契約も「世につれ」というわけ。

特許業務法人プロテック プリント版ちざいネタ帖 Vol.6 2016/01/25より